緊急入院てんまつ記(7)
― 心筋炎?心膜炎? ドクターの言葉にホロリ ―
遅れて病室にやってきた妻は、思いのほか元気に見えた。
私 「ごめんね。びっくりした?」
妻 「そりゃあ驚いたわよ。いきなり病院からすぐ来いの電話だもん。」
私 「それであのあと、先生なにか言ってた?」
妻 「気が動転してて、なに言われたかわかんなくて…。
すみません、メモしますんでもう一回お願いしますって言ったら、苦笑いしてた。」
メモを見せてもらうと、片言の病名や数字を書いているだけで、
2回聞いた割にはほとんど意味不明であった。
そこへドクターがやってきた。
処置室では顔を見ている余裕がなかったが、柔和な笑顔だった。
医師 「どうですか、気分は?」
私 「痛みは変わりませんが、吐き気はなくなりました。」
胸には患者監視送信機を付けられ、点滴棒には輸液と抗生剤の袋がぶらさがっている。
医師 「心膜炎なら回復早いと思いますが、心筋層までいってると、すこし厄介です。
先月も1人亡くなっています。」
私 「・・・・・」
医師 「だいぶ忙しい仕事ですか?」
私 「鍼灸院をやってまして、今月はいつもより忙しくて…。
特に今週はハードでした。」
医師 「過労からきたのでしょう。
先月亡くなられた方も、不規則な生活と過労が原因のようでした。」
私 「はぁ、そうですか…。」
医師 「あの状態で、ずっとガマンしていたら危なかったかもしれませんよ。」
私 「・・・」(冷や汗がタラ~リ。)
医師 「とにかく、しっかり休養とってください。
徐脈がひどいので(徐脈:脈の拍動が遅い状態)まずは抗生物質で炎症を抑える治療をしています。
検査結果は明日以降になりますので、詳しいことはそれを見ないと分かりません。
それまではとにかく安静です。」
神妙にうなずく私。
部屋を出ようとして振り返り、
医師 「鍼の先生も大変でしょう。
治療以外にも、けっこう神経を使うんでしょ?」
ニッコリ笑うと軽く会釈して出て行った。
胸の奥がジーンとした。
― 集中治療室の夜は更けて ―
それが、うるさくてなかなか更けていかない。
一般病棟と違い、救命処置後の患者や手術後の人、病状の予断許さない患者さんなどもいるから仕方がない。
ひっきりなしにナースが動き回っている。
窓もなく、ドアもない。カーテンで仕切られているだけ…。
うめき声や痰がからんで苦しそうな息遣い…。
うわごとのように名を呼び続ける人…。
「眠れなかったら言ってくださいね。睡眠薬出しますから。」
ナースは言ってくれたが頼まなかった。
明日、仕事がある訳じゃなし、CCUの夜を堪能してみるのもいいか、
などと、いたってのんきな気分でいた。
夜が明けた。(窓がないからピンとこないが…。)
案外よく眠れ、朝も気分が良かった。
血圧は130に、血中酸素も99に回復している。
しかし脈拍は依然44と低いまま。
胸の痛みは半分に減って、息苦しさもだいぶ楽になっている。
午前中は爆睡。
午後になると痛みはほとんどなくなり、深呼吸すると最後にズキン、とくる程度まで改善。
峠を越えた~、と実感あり。
この様子じゃ心筋は大丈夫そう。
甘い心の油断に、天使たちの鉄槌が待っていた。
遅れて病室にやってきた妻は、思いのほか元気に見えた。
私 「ごめんね。びっくりした?」
妻 「そりゃあ驚いたわよ。いきなり病院からすぐ来いの電話だもん。」
私 「それであのあと、先生なにか言ってた?」
妻 「気が動転してて、なに言われたかわかんなくて…。
すみません、メモしますんでもう一回お願いしますって言ったら、苦笑いしてた。」
メモを見せてもらうと、片言の病名や数字を書いているだけで、
2回聞いた割にはほとんど意味不明であった。
そこへドクターがやってきた。
処置室では顔を見ている余裕がなかったが、柔和な笑顔だった。
医師 「どうですか、気分は?」
私 「痛みは変わりませんが、吐き気はなくなりました。」
胸には患者監視送信機を付けられ、点滴棒には輸液と抗生剤の袋がぶらさがっている。
医師 「心膜炎なら回復早いと思いますが、心筋層までいってると、すこし厄介です。
先月も1人亡くなっています。」
私 「・・・・・」
医師 「だいぶ忙しい仕事ですか?」
私 「鍼灸院をやってまして、今月はいつもより忙しくて…。
特に今週はハードでした。」
医師 「過労からきたのでしょう。
先月亡くなられた方も、不規則な生活と過労が原因のようでした。」
私 「はぁ、そうですか…。」
医師 「あの状態で、ずっとガマンしていたら危なかったかもしれませんよ。」
私 「・・・」(冷や汗がタラ~リ。)
医師 「とにかく、しっかり休養とってください。
徐脈がひどいので(徐脈:脈の拍動が遅い状態)まずは抗生物質で炎症を抑える治療をしています。
検査結果は明日以降になりますので、詳しいことはそれを見ないと分かりません。
それまではとにかく安静です。」
神妙にうなずく私。
部屋を出ようとして振り返り、
医師 「鍼の先生も大変でしょう。
治療以外にも、けっこう神経を使うんでしょ?」
ニッコリ笑うと軽く会釈して出て行った。
胸の奥がジーンとした。
― 集中治療室の夜は更けて ―
それが、うるさくてなかなか更けていかない。
一般病棟と違い、救命処置後の患者や手術後の人、病状の予断許さない患者さんなどもいるから仕方がない。
ひっきりなしにナースが動き回っている。
窓もなく、ドアもない。カーテンで仕切られているだけ…。
うめき声や痰がからんで苦しそうな息遣い…。
うわごとのように名を呼び続ける人…。
「眠れなかったら言ってくださいね。睡眠薬出しますから。」
ナースは言ってくれたが頼まなかった。
明日、仕事がある訳じゃなし、CCUの夜を堪能してみるのもいいか、
などと、いたってのんきな気分でいた。
夜が明けた。(窓がないからピンとこないが…。)
案外よく眠れ、朝も気分が良かった。
血圧は130に、血中酸素も99に回復している。
しかし脈拍は依然44と低いまま。
胸の痛みは半分に減って、息苦しさもだいぶ楽になっている。
午前中は爆睡。
午後になると痛みはほとんどなくなり、深呼吸すると最後にズキン、とくる程度まで改善。
峠を越えた~、と実感あり。
この様子じゃ心筋は大丈夫そう。
甘い心の油断に、天使たちの鉄槌が待っていた。
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