緊急入院てんまつ記(5)

― かもめ、危うし!? ―

パンツ以外はすべて脱がされ、手術着(?)をつけられ処置台の上に…。
メガネも取られているので辺りはボーッとしか見えない。

周囲を見回している間に、心電図の再検査。
それが終わると、処置台の左に大型のカメラとモニターがセットされる。
結構大掛かりな装置。
そうしている間にも看Aが左手首の静脈に点滴用の針を入れ、輸液の袋をぶら下げてゆく。

私  「あの~、だいぶ悪いですか?」
医師 「心筋梗塞が疑われますが、ひょっとすると心筋炎かもしれません。」

注射を手にしたドクターは、私の右手首をアルコールでビチョビチョに拭きまくっている。
看Bが私の右腕を処置台にテープでぐるぐる巻きに固定している。

医師「ちょっと痛いよ、麻酔の注射だからネ。」

(ウオーッ! 確かに痛かった!!。)
医師「腕、動かさないでね。ガマンしてよ~。」

さらに右手首にチクンとした痛みが数回走る。
動脈にカテーテルを入れているよう。
痛みがスーッとなくなると、胸の上に大型レンズをつけたカメラが移動してきた。

まるで生き物のように首を振り出した。
医師が手に持ったリモコンで操作している。
真上にいたかと思うと脇腹のほうへ行ったり、上下に移動したり、自由自在に動いている。

ベッドサイドのモニターに画像が映し出された。
心臓の動きとそれにつれて揺れ動く血管の様子がみえる。

血液がピューッ、ピューッと流れている。

カメラが移動するたびにモニター画像も変化し、時々「カシャッ」と音がして映像が止まる。
私も目を凝らしてみてみるが、メガネなしではどうにもよく見えない。
(見えたにしてもよく解らないだろうけど…。)

病院の処置室で心臓カテーテルをされていること自体がピンとこない。
とってもリアルな夢を見ているような気分。

いったいどれだけの時間が経過しているのか…。
時間の感覚が麻痺していた。


「血管はだいじょうぶだなぁ。」
医師がポツリとつぶやいた。

「ハァ、そうですか…。」
と、安堵の私。
(よかったァ。心筋梗塞でなかった!)

しかし、医師の口からショッキングな言葉が…。
「しばらく入院になるかもね。」

(エーッ!そんな…!)

その時、妻がやってきた。

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