緊急入院てんまつ記(4)

― 検査中、緊急事態発生? ―


生まれて初めて車イスに乗せられ、人に押してもらった。

不思議な気分。
うれしいような、情けないような…。

待合室の人たちが、一斉にこちらを見る。
後から来たのに何か申し訳ないというか、気恥ずかしい…。
(まさか知ってる人は居ないよな?)
下を向いて通り過ぎた。

まず採血。
次に心電図。
それから胸部レントゲンを撮り終えて廊下に出ると、2人の看護師が小走りでやってきた。

看護師 「これから心臓カテーテルをやることになりました。」
私 「ハァ?」

あっけにとられている私にお構いなしに、2人はスピードを上げた。
隣の本館へと車イスを移動させてゆく。
渡り廊下の向こうで、もう1人、ナースが待ち構えていて、3人がかりで飛ばしてゆく。

(なんでこんなに急ぐの?)

車イスは処置室らしい部屋に入ってゆく。
中ではスタッフが慌ただしく機材をセッティングしている。
緊張感が漂い、まるでTVの医療ドラマの世界…。


看A 「先生はまだなの?」

看B 「今、向かってます!」

看A、私に向かって
「奥さんに、連絡つきますか?」

私 「あ、ハイ、仕事場に居ますけど…。」

そこへドクターが入ってきた。
準備中のスタッフにいくつか指示を出すと、

「家族に連絡は?」
看護師「これからです。あなた、仕事場の電話番号は?」

私 「○○―○○○○です。」

看Aが呼び出し、ドクターに受話器を渡す。
医師 「Y病院、循環器医師の○○です。
    ご主人の病状について説明をしたいので、なるべく急いで来てください。
    心筋梗塞の可能性があります。」

(オィオィ、そんなにひどい状態かよ~!)

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